士別市上士別・中士別

地質案内に戻る TOP PAGEに戻る

 士別市上士別には「石灰山」という山があり,その名の通り石灰岩でできた山です.南洋の島にできたサンゴ礁を起源とする石灰岩で,中生代三畳紀からジュラ紀にかけて形成されたものといわれます.2億年以上前といったところでしょう.この地域では,最も古い時代を示すものです.
 海洋プレートの北上とともにこの海山も移動し,海溝付近に付加したものですが,それがさらに崩壊したものともいわれます.メランジですが,周囲の頁岩に対して,あまりにも古い時代のものであり,多くのナゾがあります.セメントの原料として,採掘が行われた後,いったん閉山しましたが,現在は土壌改良材として再び採掘が行われています.
 上士別の国道沿いの,日高累層群の黒色頁岩〜ホルンフェルスの採石場です.中生代白亜紀後期の付加体と思われます.深海底に堆積した泥が,海溝付近に付加したものです.このような地層は朝日町にも連続して観察され,その東方延長はなんとオホーツク海にまで続きます.東に行くほど時代が新しくなり,古第三紀まで続きます.このあたりは日高累層群の西端ですから,日高累層群としては最も古いということになります.
 士別市中士別の緑色岩の採石場です.中生代白亜紀の,日高累層群の緑色岩で,かつての海洋プレート(MORB)であったものです.およそ1億年ぐらい前のものでしょうか.普通は日高累層群はもっと新しい時代のものなのですが,下川町の緑色岩が1億2600万年前と測定されているので・・・.(その数字,ホントなのかな??)
 ま,ともあれそういう由緒正しい岩石なのですが,細かく砕かれ,道路に撒かれたり,庭のバラストに使われたりしています.気の毒な使われ方ですね.
 上士別にはいくつかの花崗岩体が見られ,以前は採石されていました.写真は上士別川南の旧採石場の花崗岩です.かなり風化が進んでおり,花崗岩自体よりも風化した「真砂(マサ)」を取っているようです(下段参照).
 この花崗岩は,新生代新第三紀中新世前期(2000万年前頃)のもので,日高火成活動に伴って形成されたもののようです.日高山脈の延長部が,こんな所にまで来ていたんですね.
 上士別川南の花崗岩の真砂(マサ)です.最初見たときは第四紀の砂かと思ったぐらい,ボロボロ・ザラザラとしています.よく見ると花崗岩を構成していたいろいろな鉱物が見られて,なかなか面白いものです.「ヒル石」を探してみたんですが,見つかりませんでした.
 マサの形成については,「士別の地質のナゾ」を見てください.

地質案内に戻る TOP PAGEに戻る