下川町の地質

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 下川町が地質的に注目されているのは,中生代の「下川オフィオライト」の存在,新生代の「珪化木」,そしていくつかの大規模な金属鉱山があったということです.
 下川オフィオライトは,「下川緑色岩体」に加え,わずかな蛇紋岩,斑れい岩・チャート・黒色頁岩から成るもので,オフィオライトとしては不完全なものです.白亜紀末期に,中央海嶺が北海道付近に接近し,海嶺から湧き出した玄武岩の上に深海底堆積物のチャートがのり,陸地に近づくにつれて,泥岩が堆積していったものです.写真は落合沢の枕状溶岩です.
 これは落合沢の枕状溶岩の上に堆積しているチャートと黒色珪質頁岩です.この露頭はチャートから珪質頁岩へと徐々に変化していっている様子がはっきりとわかる,貴重なものです.海洋プレートが,だんだん遠洋から陸地に近づいていく様子が記録されているわけです.
 パンケ川の緑円橋付近です.日高累層群の黒色頁岩が観察されますが,「クキッ」と曲がった,褶曲とも断層ともつかないようなものがみられます.これはキンク褶曲というものです.泥岩が固結してからの変形によるもので,たぶん新生代中新世に変形したもの?だと思います.
 下川町から朝日町にぬける道沿いの露頭です.写真の上部は玄武岩溶岩,下部はハイアロクラスタイトです.新生代新第三紀中新世の,約1500万年前の玄武岩で,海底火山の噴火によるもののようです.真っ黒な,「いかにも」という感じの玄武岩です.下川層群の最下部にあたります.
 パンケ川の緑円橋の下川層群です.下川層群は最下部は海成の地層ですが,ほとんどは陸成です.安山岩質の火成活動による溶岩や土石流堆積物を中心とし,河川成・湖成堆積物も含みます.士別付近の「美深層」と同じ地層と考えられます.写真は土石流堆積物のようです.凝灰質の泥や砂の中に,大きな安山岩の礫がドカドカと入っています.
 同じく下川層群の安山岩です.板状節理が発達し,「鉄平石」のようになっています.安山岩の溶岩が固まったものです.下川層群の安山岩は,1300万年から1100万年前の火成活動によるものらしく,当時道北地方は火山だらけだったようです.温泉も数多く,その中の湖が下川にはあり,そんな環境で「珪化木」がつくりだされました.

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