第104回 (2018年2月 更新)
剣淵町藤本の美深層(その3)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 剣淵町藤本の士別剣淵インターの工事現場の続きです。なんと10年以上も前の記録写真となります。
 露頭の中部に白い地層が見えます。結構目立ちますね。近くに寄って調べてみましょうか!
 むむむ・・・地層の厚さが大きく変化していますね。陸上の地層ではよくあることです。厚いところでは10cm以上ありますよ。明らかに他の地層とは雰囲気の異なる層です。真っ白な地層・・・これはやはり凝灰岩層で間違いないですね! 火山灰が堆積してできた地層ということです。火山噴火の証拠ですね。美深層は800万〜1200万年前くらいの時代の地層ですが,凝灰岩はフィッショントラック法という年代測定法で詳しい堆積年代を求めることができます。この白色凝灰岩層は泥質で粒が小さいため,年代測定できる粒が見つからないかも・・・。
 薄い部分に近づいてみました。すごくグニャグニャと揺れていますね。他の地層も同じように揺れています。河川堆積物ではよくあることですが,この露頭の地層は全体的に淘汰が悪く(いろいろな大きさの粒が含まれているということ),すべての地層に泥の割合が多いです。地層のでき方としては泥流や土石流に近いものがイメージされます。この白色の凝灰岩層も粘土っぽい感じがします。おそらく空から降ってきた火山灰ではなく,一度降下した火山灰が「再堆積」した凝灰岩層でしょう。火山から噴出した火山灰がどこかに堆積して,それがまた河川などの浸食を受けて運ばれ,別の場所に堆積したということです。
 白色凝灰岩層の下部をよく見てみましょう。赤茶色で,カチンコチンになっている薄い地層が見られます。境界は非常に不規則になっています。陸上の堆積物は,水が引いて乾燥状態になると,大気中の酸素によって地層中の鉄分が酸化します。「鉄サビ」の塊になるのです。おそらくこの薄い赤茶色の層は,そのようなものではないでしょうか。

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