第82回 (2010年8月12日更新)
士別市上士別の石灰山(その5)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市上士別の石灰山(新士別鉱山)の探険の続きです。
 石灰山の頂上付近です。このガサガサした露頭は何でしょうか? この石灰山、重機を使って崩す作業をすると、崩しやすい部分と、硬くて崩しにくい部分があるそうです。この露頭は、内部がガザガサになっていますが、これは人間が崩した石灰岩を積み上げたものではないそうです。人間がやったのではないとなると、自然にそうなったということになりますが、どういうことなんでしょうね?
 これは、石灰山の上の方が自然に崩れて、どんどん崩れた石灰岩が積み重なった、いわば「山崩れ」、「土砂崩れ」、「地すべり」のようなものらしいです。前にお話ししたように石灰岩は崩れやすい(割れやすい)岩石なのでどんどん崩れていき、雨水でゆるく固まり、ということを繰り返したのでしょうね。
 さて、前回ここで化石は見つからなかった、とお話ししました。ところが、写真のような変なものが見つかっています。この写真は石灰岩の薄片を顕微鏡で観察したものです。たくさんの丸いものが見えます。丸く見えるものの大きさは1ミリくらいです。よく見ると同心円状の構造も見えています。はじめは何かの化石かと思いましたが、生物の化石ではありませんでした。実はこれ、「波の化石」とでもいうべきもので、「ウーライト」というものです。穏やかな浅い海底で、泥が波にゆられてコロコロ、コロコロと転がり、小さな雪だるまのようになったものなのです。1億年前ののんびりした風景を想像してみて下さいね。

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