第98回 (2016年12月 更新)
士別市朝日町の金山の沢(その2)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 1年もほったらかしにしてしまった。士別市朝日町、ポンテシオ湖上流の金山の沢の「続き」です。 (^^;)
 川原の岩石に目を向けてみましょう。灰色、茶色、黒色、様々な色の岩石が目に入ります。ハンマーでたたいてみると、どれもこれも「キンキン」と大きな高い音が出て、硬くてなかなか割れません。さて、この岩石は?
 岩石に近づいてよく見ると、岩石の中には,大きな角張った白い粒々(斑晶)がたくさん入っていますよ。う〜む、この色合いと構造は、間違いなく「安山岩」ですね。安山岩は火山の溶岩です。この地域で見つかる安山岩は,新生代中新世の1000万年ほど前のものと考えていいでしょう。地層でいうと、美深層が形成された時代で、道北地方全体で火山活動が活発だった時期です。
 
 おや?安山岩の中に、丸い泥岩のようなものが入っているものが見つかりました。これは「ゼノリス(捕獲岩)」というものです。マグマが地下を上昇したり、噴出した溶岩が山腹を流れていくときに、その周囲にあった地層や岩石などを巻き込んでしまったものです。1000℃以上もある溶岩に取り込まれるわけですから、周辺が焼かれて赤っぽく変質してしまっています。
 
 これは真っ黒な火山岩です。ツブツブの斑晶もあまり見あたらず、どうやら玄武岩のようですね。この沢にはこの他にも流紋岩や石英斑岩など、多くの種類の火山岩が見つかります。まるで火山岩の標本箱のようでした(続く)。

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