第 74 回
士別市朝日町八線の奥士別層(その2)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市朝日町八線の奥士別層の露頭です。天塩川沿いの露頭の,国道をはさんで反対側(山側)にある露頭でしたね。
 人が立っている所に,縦長のものが見えますね。これは,奥士別層の中の白っぽい砂岩層です。地層は基本的には水平にできるものですが、ここの地層は,縦になってしまったということですね。奥士別層は約1500万年前の海底でできた地層ですが,その後の地殻変動によって,縦になってしまったというわけです。ものすごい力が加わったということになりますね。
 さて,奥士別層の地層の上に,茶色っぽい地層がのっているのが観察されます。これは、どこかで見たことがあるような地層ですね・・・。
 ちょっと登ってみました。手の位置あたりが奥士別層(下)と,上の地層との境界部です(久々に私自身の登場)。大きな丸い礫がたくさん入っています。これはやはり礫岩層ですね! 先日まで紹介してきた、天塩川対岸にあった地層と同じです。あれ?でも,礫岩層がのっていたのは,天塩川の露頭では日高累層群という中生代の地層だったのに,こちらでは新生代の地層の上にのっていますよ・・・?不思議です。
 実はこれ,不思議でも何でもなくて,不整合ではよくあることなのですが,地殻変動によって色々な地層が地表や海底に出ていた状態のときに,川や海がガリガリ表面を削っていって,堆積物を残していったためにこのようになることがあるんです。
 前回,この露頭と天塩川の露頭の位置関係を見ていただきましたが,不整合面の高さはだいたい同じと考えて良いでしょう。川があちこち移動しながら「同時面」と呼ばれる同時代に浸食によって作られた平面がこの不整合面の正体です。
(つづく)

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