士別市朝日町

その2

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 新生代新第三紀,中新世の似峡層(にさまそう)です.1500万年前の地層と思われます.二枚貝の化石が砂岩層の中に密集しています.
 士別市では,西側には新生代の海の地層がありますが,そこから東にはずっと見られず,この朝日町と剣淵町弥栄川でポツンと見つかります.昔の日本海の地層なのですが,非常に断続的な分布です.1500万年前に世界的に海水準が上昇し,一時的にこのあたりにも海が広がり,あまり厚い地層は形成されず,それもまた天塩川によって削られてしまったのでしょう.
 似峡層の二枚貝化石を取り出してみました.「グリキメリス・キシュウエンシス(キシュウタマキガイ)」という貝です(北海道教育大学札幌校の鈴木明彦先生による鑑定).珍しい種類ではなく,現在もタマキガイは生きています.しかし,朝日町のような内陸部に貝化石が見つかるということは大変興味深く,当時の環境を推定するのに貴重な資料となっています.2000年度士別市立博物館報告にて報告され,上記鈴木先生が剣淵町の化石とあわせて論文報告されました.士別市民からの情報によってその存在を知ることができた化石です. 
 ケナシ川周辺の似峡層です.大小さまざまの礫が見られます.乱雑な堆積構造が示されており,海底谷か,海底扇状地の堆積物なのでしょうか? 中新世に東側にあった,「ウェンシリ地塁」という山地から海底に流れ込んだ砂礫によって形成された地層と思われます.

 同じく似峡層です.花崗岩,黒色頁岩など,このあたりに普通に見られる岩石が角礫となって取り込まれています.あまりきれいに整層していないのがこの地層の特徴です.この「普通じゃなさ」に魅力を感じるのは私だけでしょうか?
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