チ ャ ー ト
Chert
士別市温根別 五線川・温根別ダム
中生代白亜紀
チャートは,およそ4000m以深の深海底において,放散虫などの殻の堆積によって生じた岩石です.陸地から遠く離れた深海底では,砂や泥などは届かず,主にプランクトン遺骸が堆積する環境にあります.しかし4000mを超えると,炭酸カルシウムでできたプランクトンの殻は海水に溶解してしまうため,珪酸質の殻のみが堆積します.したがってその堆積物は,最終的に珪酸分に富んだ,放散虫を多量に含む岩石(チャート)となるのです.
空知層群は,はるか南洋から移動してきた海洋プレート(海台)であり,その上部にチャート層をのせています.移動の間に放散虫がゆっくりと降り積もっていったのでしょう.写真は士別市温根別五線川のチャートであり,空知層群上部(幌加内オフィオライト)のものといわれています.当地域では下部蝦夷層群が空知層群に整合に乗っており,下部蝦夷層群最下部には珪質泥岩(チャートと泥岩の中間の岩石)層が厚く堆積しています.そのため空知層群最上部のチャートと,蝦夷層群最下部の珪質泥岩との境界ははっきりしません.整合遷移しているといわれています.
写真左 士別市温根別五線川のチャート
写真右 同 薄片写真(丸く見えるのが放散虫)