第105回 (2018年3月 更新)
下川町下川鉱山の銅鉱石(その1)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市の隣町,下川町の下川鉱山に行きます.下川鉱山はかつて銅の産出量日本一を誇る偉大な鉱山だったのですが,昭和58年に閉山しています.まだ鉱石を見つけることができるということで,士別市立博物館の地質観察会で銅の鉱石を探しに行きました(何年も前の話ですが).
 下川町の南側に,士別市朝日から北上する道々101号線から東側に入る「落合沢」という沢があります.パンケ川の支流です.沢沿いに落合沢林道があり,この林道を東方に向かうと旧下川鉱山跡に着きます(地図の矢印の場所).落合沢は山菜なども豊富な魅力的な沢ですが,地元では有名なヒグマのメッカです.この落合沢で,1933年に金色にピカピカ光る重たい石が見つかったことが下川鉱山の発見につながりました.
 下川町森林組合で鍵の番号を教えてもらい,落合沢林道に入ります.右側には落合沢があります.今回はバスで入りました.舗装はされていませんが,何とか鉱山までは行くことができます.
 こんな感じ.探検隊って感じで,いいですねぇ! 「下川鉱山」というと,多くの人たちは「下川選鉱所」のことと思っているようなんですが(落合沢の北側),実はそこは鉱石を掘り出していた場所ではないんですよね.これから行く場所で銅の鉱石を採取して,山を越えて下川選鉱所に送り,そこからさらに精錬所に輸送され,全国に銅を供給していました.かつて数千人居住していた「下川鉱山」と呼ばれた選鉱所跡は,今は中和作業だけを行っています.永久に中和しなくてはならないそうです.この辺の話はまた後日あらためて. 
 しばらく走ると,急に開けた場所に出ます.ここが旧下川鉱山の本体です.この場所で銅の鉱石を掘り出して選鉱所に運び出し,そこで銅の含有率の高いものを精錬所に運び出して,純度の低いもの(ズリ)は捨てられていました.この斜面は捨てられた鉱石の山で,いわゆる「ズリ捨て山」というものです.(続く)

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