第91回 (2012年11月 更新)
士別市温根別のマムシ沢(その3)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市温根別のマムシ沢の続きです。
 真っ茶色のきたない岩石です。マムシ沢にはこういう岩石がたくさんあります。私はこれを見るとうれしくなってしまうのですが、その理由は実はこの岩石が「かつての地球のマントル」だからなんです。マントルと河原で出会えるなんて、すごいことだとは思いませんか?
 地球のマントルは主に「かんらん岩」という岩石でできていますが、この茶色の岩はかんらん岩が特殊な変成作用を受けてできた「蛇紋岩」という岩石です。蛇紋岩も士別を代表する岩石のひとつで、士別周辺では温根別でしか見つかりません。表面は茶色ですが、これは鉄の成分が多くて、水と酸素によって表面がさびているためで、ハンマーで割ると内部は真っ黒です。
 おや?これは久しぶりに見つかった「かんらん岩」ですよ!マムシ沢では蛇紋岩はたくさん見つかりますが、蛇紋岩になる前のかんらん岩はなかなか見つかりません(第2マムシ沢ではけっこう見つかりますが)。これぞまさにマントルです。黄緑色の美しい岩石です。やはりこのマムシ沢、世界が注目するだけのことはありますね。

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