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 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.

剣淵町刈分川の刈分川層

 さて,このコーナーのトップバッターはやはり剣淵の刈分川層でしょう.なんてったってあのベストセラー,「道北の自然を歩く」に紹介されていた露頭ですから有名です.国道40号線を,剣淵温泉方向に折れる交差点を東進,二股を左に行き,もう一回二股を左に行くと右手に見えてきます.

剣淵の刈分川層  刈分川層の全体です.大きくU字型に変形した砂岩と泥岩の地層です.白っぽい層は細粒の砂岩,黒い層は泥岩です.放散虫の化石から,中生代白亜紀後期の深い海底にできた地層といわれています.イドンナップ帯(主に白亜紀前期に海溝付近に付加した海山群)の上に堆積したタービダイト(深海底の混濁流による堆積物)と考えています.
 ちょっと近づきましょう.全体としてはU字型に曲がっていましたが,よく見るとずいぶんとズタズタです.これはこの地層が,ある程度硬くなってから変形の力を受けて,断層がたくさんできたということを示しています.
 露頭の左側です.砂岩と泥岩がきれいな縞模様をつくっています.海底の斜面を泥と砂が混濁流として流れ落ちて堆積したもので,先に重い砂が堆積して,その上に泥がゆっくりと堆積します.陸上で大きな洪水などが起きたときだけこういうことが起きるような場所であったわけです.こういう地層を「タービダイト」といいます.
 露頭右側の断層です.直線的な低角の断層ができています.切ったり切られたりという関係がよくわかる場所がたくさん見られ,ゆっくり見るとおもしろいです.この断層では,右側(上側)が左にずれているようです.つまり,「逆断層」ですね.逆断層は「押す力」によってつくられた断層です.
 泥岩中の砂岩のブロックです.これはよく見ると断層で細かく切られた砂岩層がブロックになっているようです.大変細かく断層が入っているんですね.
 大きめの断層です.断層の部分は,地層がずれてこすられるため,粘土のようになっています(断層粘土).その粘土の細かなひび割れを見るとどちらにずれたのかがわかります.

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