第 11 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 朝日町岩尾内湖の頁岩層

 このコーナーの第11弾は,朝日町の岩尾内湖付近の,中生代白亜紀後期?の頁岩層です.朝日町から東に進んでいくと,有名な人造湖の岩尾内湖があります.このあたりはたくさんの露頭がありますが,いずれも「日高累層群」という,海溝付加体です.半遠洋で堆積した黒色の泥岩と,海洋底の玄武岩が変質した緑色岩などが観察されます.多くの研究者が訪れる,大変興味深い場所です.

 岩尾内湖の入り口付近です.露頭に金網が張ってあり,黒っぽい岩石があちこちで観察できます.この黒っぽい岩石が,中生代に半遠洋で堆積した泥で,海洋プレートによって海溝まで運ばれて付加したものです.これと同じ地層は,中士別あたりから始まって,ずっとオホーツク海の海底にまでつながっています.士別のあたりがちょうど海溝で,そこから東側にずっと海底(昔の太平洋)があったんですね.
 近づいてみました.風化していてわかりにくいんですが,一定方向に細かな割れ目が観察されます.これは堆積物に大きな圧力がかかったためです.こうした岩石を「千枚岩」といいます.パリパリと無数にはがれるように割れるため,このような名前が付けられています.
 ちょっと脇道にそれてみました.ダムの北側に日暮山林道という道がありますが,ここでは千枚岩がよく観察できます.きれいに一定方向に割れまくっています.よほど大きな圧力が働いたのでしょう.この力がいつ働いたのか? 私は良く知りませんが,新生代に入ってからのことだと思います.

 岩尾内湖付近だけでホームページができてしまうほど,このあたりは様々なものが観察される,おもしろい場所です.風景も大変美しい場所ですので,ぜひ訪れていただきたいものです.またこれからこのあたりの別の露頭も紹介していきたいと思います.

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過去の露頭探検隊を見る
  第1回 剣淵町刈分川の刈分川層
  第2回 和寒町東和の東和コンプレックス
  第3回 士別市温根別のマムシ沢
  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
  第5回 上士別・朝日町の石灰岩
  第6回 士別市温根別のエゾ累層群
  第7回 士別市上士別の花崗岩
  第8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
  第9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
 第10回 上士別の石灰山(その2)