このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
このコーナー第13弾は,士別市温根別町の温根別町,九線川の蝦夷層群下部です.以前蝦夷層群は1度ご紹介しましたが,アンモナイトなどの化石を産出する,世界的に有名な地層です.温根別ではこの地層があちこちで観察できますが,下部が観察できる場所は北海道でもそう多くはありません.士別市でも2カ所といっていいでしょう.温根別市街地を通り抜けて南進し,ダムに行く道を途中で西進します.九線川自体は幌加内オフィオライトの岩石がたくさんあって,珍しくて美しい岩石がゴロゴロしている魅力的な沢です.車で上がれる道の限界は貯水池になっていますが,そこもなかなか風情のある風景です. |
これが下部エゾです.がっかりしましたか?普通はそうですよね.蝦夷層群は白亜紀の初期に堆積が開始された海成層ですが,初期の頃は海盆は大変に深く,泥岩が中心の地層で,地層の縞模様(層理といいます)が大変細かく,平坦です.地層らしい美しい縞模様が見られます.深海ですから,アンモナイトなどの化石は見つかりませんが,この縞模様は何ともいえず魅力的なものです.ハンマーでバシッとたたくと,層理面にそって平べったく割れます. | |
わかりにくいですが,黒っぽいところは泥岩,白っぽいところは細粒砂岩です.きれいに平行な地層が堆積しています.この写真では2メートルほどの厚さの地層が写っていますが,これだけ堆積するのに何年ぐらいかかったのでしょうか? たぶん数百万年はかかっているとおもいます.洪水(台風などのとき)の時にかろうじて砂や泥が流れてくるような場所だったからです. ゆっくりゆっくりとこの海盆は埋め立てられていったのです. |
さて,下部エゾでした.蝦夷層群は化石で有名ですが,地層自体も本当に美しいものです.この場所で地層に挟まった真っ白な方解石脈も見つけました.私が堆積岩の中で見つけた鉱物としては最高級のものです. |
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