第 20 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市朝日の糸魚小学校の所蔵資料

 このコーナーの第20弾は,朝日町糸魚小学校にある化石や岩石の紹介です.糸魚小学校には貴重な化石や岩石,鉱物が展示されている部屋があります.校長先生と教頭先生にご案内していただき,ちらっと授業の方もおじゃまさせていただきました.

 これはタマガイです.私は朝日町ではタマキガイしか採取できていないので,「お〜,やはりこういうものもあったか!」という感じです.保存状態もまずまずですね.これも1500万年前の化石です.この他にも何種類かの化石があり,子供たちが「朝日町化石マップ」なるものをつくっていました.
 これは何でしょう??? 私はこれを初めてみたとき,エビかなんか節足動物の体の一部か?と思ってしまいました.しかし,専門家に聞くと「石灰藻」という植物の一部だそうです.石灰質というとサンゴとか,動物を思い浮かべるのですが,これは何と石灰質の殻をつくる植物だそうです.あんまり見たことないですよねぇ.でも,石灰藻は現在でもポピュラーな生物らしいです.でも,こんなに繊細な構造だと,しっかり化石に残ることはそう多くはないんじゃないでしょうか.
 これは「湯沢石」です.簡単に言うと石灰岩に一種です.しかし,湯沢石はたくさんの小さな孔があいていて,水を吸い上げる性質を持っています.おそらく中生代の石灰岩がいったん溶解し,再び固結したもの(カルクシンターといいます)と思われますが,このようなものは温泉が作用している場合が多いです.さて,いつの温泉か...古ければ1300万年前,新しければ...うーん,そういうことは私にはわからぬ.先日朝日町のMさんとお話しした際に,湯沢はイオウ臭のする湧水があるということでした.おそらくかなり昔の温泉の名残なのではないかと考えますが...

 朝日町糸魚小学校の所蔵資料でした.この他にもかつての鉱山関係の物など,興味深い物がたくさんありました.朝日町は北海道で最初に地質図幅が作成された場所です.現在も数名の学者が地質の研究のために朝日町を訪れています.こうした資料は絶対に埋もれさせてはいけないものだと思っています.

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過去の露頭探検隊を見る
  第1回 剣淵町刈分川の刈分川層
  第2回 和寒町東和の東和コンプレックス
  第3回 士別市温根別のマムシ沢
  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
  第5回 上士別・朝日町の石灰岩
  第6回 士別市温根別のエゾ累層群
  第7回 士別市上士別の花崗岩
  第8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
  第9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
 第10回 上士別の石灰山(その2)
 第11回 朝日町岩尾内湖の頁岩層
 第12回 士別市温根別ダムの蛇紋岩
 第13回 士別市温根別九線川の下部蝦夷層群
 第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
 第15回 和寒町東町の凝灰岩
 第16回 朝日町ケナシ川の似峡層
 第17回 朝日町八線の貝化石
 第18回 朝日町八線の貝化石(その2)
 第19回 朝日町八線の貝化石(その3)