このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
このコーナーの第14弾は,士別市温根別町の温根別ダムに観察される,蝦夷層群下部です.前回も蝦夷層群下部をご紹介しましたが,今回は下部の中でも「最下部」になります.全道各地で観察される蝦夷層群ですが,最下部を観察できる場所はそう多くはありません.ましてや車で露頭まで行けるところとなると本当に限られています.この貴重な路頭,いつまでもそのまま保存されていてもらいたいものです.かつてこの露頭で学術論文が発表されたことがあります.温根別市街地を通り抜けて南進し,ダムの東側を直進して,ダムが終わったあたりの露頭です. |
これが蝦夷層群最下部です.良くわかりませんね(^_^;) 凝灰質(火山灰を含む)泥岩が中心です.蝦夷層群が堆積した頃,このあたりは中国大陸の東側の海底だったわけですが(日本列島はまだない),そこで「島弧」というものが形成され始めました.島弧というのはプレートの沈み込みに伴って弧状に発生する火成活動によってつくられる火山列のことです.現在の日本は非常に発達した島弧です.この島弧は初め海底にありましたが,次第に発達して島になりました.この火山列から砂や泥が海底に供給されて蝦夷層群ができたのです.写真の人物は北海道教育大学名誉教授の木村方一先生です. | |
これもわかりにくいですが,「珪質泥岩」というものです.数千mという深海なので,チャートができそうなものですが,先ほど説明したとおり,ここは深海ですが遠洋ではないのです.泥や砂,そして火山灰が堆積しますので,純粋なチャートはつくられません.泥岩とチャートの中間的な岩石がつくられます.それが珪質泥岩です.この岩石の中には放散虫の化石が見られます.その化石を調べることによって,この地層が1億年以上前のものであることがわかっています. |
さて,蝦夷累層群最下部でした.見た目は本当にパッとしない地層で,まずほとんどの人は見向きもしないでしょう.しかし,最初に書いたように,大変に珍しい露頭であり,北海道の形成史を考える上で大変重要なものなのです. |
TOP PAGEに戻る |