第 29 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市朝日北線の奥士別層(その1)

 このコーナーの第29弾は,士別市朝日北線の北線川の川底に観察される、新生代新第三紀中新世の「奥士別層」という地層です。朝日市街地に入る手前の道を北に向かい、ややしばらくいくとどこからでも河原に降りられる道になります。ずっと上流まで行くとニジマスの釣り堀がありました。北線川はとても浅い川で、川底の地層がずっと観察できます。貝化石なども見つかります。

 河原はこんな感じで、地層がよく観察できます。車ですぐに行けて、気楽に地層が観察できる実にいい場所なんですね。奥士別層は1500万年ほど前の、浅い海底につくられた地層です。第16回から20回にかけて連載したものをご参照下さい。地球温暖化の際の、拡大した海域の地層でしたね。士別市から朝日町にかけて、細長い内湾となっていたようです。当方にはウエンシリ地塁という、昔の日高山脈がそびえ立ち、河川によってこの細長い海に、礫や砂を運び込まれていました。貝や魚もたくさんいたことでしょう。ここでも貝の化石が発見されました(次回紹介)。
 川底にはこのような穴が多数ありました。恐竜の足跡か?なんて思ってしまいますが、これはポットホールというものです。ま、だいたい恐竜の時代の地層ではありませんので・・・。川底のちょっとしたくぼみに小石などが入り、川に流れがそのくぼみで回転し、小石も一緒に回転することによって少しずつ川底に穴をあけていくのです。特段珍しいものではありませんが、川底に水平に地層が出ているときに多く見かけます。この写真の露頭はほぼ水平でした。この地層が堆積したときの状態が再現されていると考えると不思議な気分です。「今、1500万年前の海底に立っている」そんな気分が味わえてしまいます。

 朝日町北線の奥士別層でした。以前も八線で紹介しているので、特にどうということはないのですが、地層の露出状況がオススメなものでご紹介いたしました。しつこいですが次回もこの続きを・・・・。

TOP PAGEに戻る


過去の露頭探検隊を見る
  第1回 剣淵町刈分川の刈分川層
  第2回 和寒町東和の東和コンプレックス
  第3回 士別市温根別のマムシ沢
  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
  第5回 上士別・朝日町の石灰岩
  第6回 士別市温根別のエゾ累層群
  第7回 士別市上士別の花崗岩
  第8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
  第9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
 第10回 上士別の石灰山(その2)
 第11回 朝日町岩尾内湖の頁岩層
 第12回 士別市温根別ダムの蛇紋岩
 第13回 士別市温根別九線川の下部蝦夷層群
 第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
 第15回 和寒町東町の凝灰岩
 第16回 朝日町ケナシ川の似峡層
 第17回 朝日町八線の貝化石
 第18回 朝日町八線の貝化石(その2)
 第19回 朝日町八線の貝化石(その3)
 第20回 朝日町糸魚小学校の所蔵資料
 第21回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その1)
 第22回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その2)
 第23回 和寒町東丘の美深層
 第24回 剣淵町12線の多寄層(その1)
 第25回 剣淵町12線の多寄層(その2)
 第26回 士別市武徳の緑色岩
 第27回 士別市温根別の角閃岩(その1)
 第28回 士別市温根別の角閃岩(その2)