第 19 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市朝日八線の貝化石(その3)

 前回に引き続き,このコーナーの第19弾は朝日町八線の奥士別層で発見された貝化石の露頭です.第17回で,「次回は貝化石の正体を...」なんて予告してたのに,18回では正体を明かすのを忘れてました....今回はいよいよ貝化石の正体です!

 うわぁ! ごちゃごちゃしてますね.掘り出したものを並べて撮影してみました.割れたものばかりで,完全な貝はほとんどありません.いろいろな形をしているので,いろんな種類があるんだな....と思ったら,岩見沢教育大学の貝化石の専門家である鈴木明彦先生の鑑定によると,これらはすべて「グリキメリス・キシュウエンシス(キシュウタマキガイ)」という貝だそうです.一種類だとなんだか寂しい感じですが,この露頭全体が一種類の貝ということも逆に珍しいことのようです.
 キシュウタマキガイは現在も生息しています.様々な水域に生息しており,この種だけで昔の環境を推定するのは難しいようです.しかし,この露頭からはこの種類しか出ませんでしたが,昨年朝日町糸魚小学校におじゃましたときに,なんと朝日町産出の様々な貴重な化石が保管されていたではありませんか!!

 朝日町の奥士別層,第3弾でした.士別近辺では数少ない貝化石,その正体が明らかになったわけですが,次回は糸魚小学校のいくつかの化石が登場します(掲載の承諾いただいております).さて,1500万年前のこのあたりの海の様子,少しずつイメージができてきましたね!

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過去の露頭探検隊を見る
  第1回 剣淵町刈分川の刈分川層
  第2回 和寒町東和の東和コンプレックス
  第3回 士別市温根別のマムシ沢
  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
  第5回 上士別・朝日町の石灰岩
  第6回 士別市温根別のエゾ累層群
  第7回 士別市上士別の花崗岩
  第8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
  第9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
 第10回 上士別の石灰山(その2)
 第11回 朝日町岩尾内湖の頁岩層
 第12回 士別市温根別ダムの蛇紋岩
 第13回 士別市温根別九線川の下部蝦夷層群
 第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
 第15回 和寒町東町の凝灰岩
 第16回 朝日町ケナシ川の似峡層
 第17回 朝日町八線の貝化石
 第18回 朝日町八線の貝化石(その2)