第 21 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その1)

 このコーナーの第21弾は,士別市温根別の中線川に見られる中部エゾ層群の礫岩層です.中線川は,温根別のトヨタテストコースを左手に見て,幌加内に向かう国道を右側には行った道にあります.突き当たりに溜め池がありますが,このあたりにその地層はあります.

 ここが中線川沿いのエゾ層群の露頭です.200mぐらいの連続した露頭で,結構観察しやすいです.いままで何度かエゾ層群はご紹介しましたが,中生代白亜紀の海底の地層です.中部エゾ層群はその真ん中のもので,白亜紀中期の地層です.普通,エゾ層群は砂岩や泥岩が中心ですが,ここではなんと珍しいことに礫岩(ジャリの地層)が観察されます.どういうことなんでしょうか?ジャリといえば川の地層なのでは?エゾ層群の礫岩層を観察できる場所は北海道でもそう多くはなく,しかも車ですぐに行ける場所はあまりありません.
 大きな丸い石が入っていますね.これが「礫」です.一番大きな物は人の頭ぐらいの大きさでした.さて,海底の礫岩層,どう思いますか?礫は普通,川で見かけますね.ここの礫も丸くなっていますから,川から流れてきたものでしょう.しかし,こんな大きな礫があるということは,大きな川の下流ではありませんね.このころ,いったいどんな地形だったのでしょうか.みなさん,考えてみてくださいね!ちなみにここに写っている大きな礫は花崗岩で,海底には見られない岩石です.

 士別市温根別の中線川の中部エゾ層群でした.今回はナゾばかりでしたね.いろいろ不思議なことのあるこの地層,謎解きは次回にいたしましょう.とはいうものの,本当はまだわかっていないことが多く,次回の「解答」も本当かどうかはアヤシイのですが....

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過去の露頭探検隊を見る
  第1回 剣淵町刈分川の刈分川層
  第2回 和寒町東和の東和コンプレックス
  第3回 士別市温根別のマムシ沢
  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
  第5回 上士別・朝日町の石灰岩
  第6回 士別市温根別のエゾ累層群
  第7回 士別市上士別の花崗岩
  第8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
  第9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
 第10回 上士別の石灰山(その2)
 第11回 朝日町岩尾内湖の頁岩層
 第12回 士別市温根別ダムの蛇紋岩
 第13回 士別市温根別九線川の下部蝦夷層群
 第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
 第15回 和寒町東町の凝灰岩
 第16回 朝日町ケナシ川の似峡層
 第17回 朝日町八線の貝化石
 第18回 朝日町八線の貝化石(その2)
 第19回 朝日町八線の貝化石(その3)
 第20回 朝日町糸魚小学校の所蔵資料