第 24 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 剣淵町12線の多寄層(その1)

 このコーナーの第24弾は,剣淵町12線の多寄層の地層です.国道40号線沿いの士別と剣淵の境界付近の露頭ですので,多くの方がご覧になっていると思います.「多寄層」というくらいですから,多寄でたくさん見られる地層なのですが,それは後ほどご紹介いたしましょう.

 こんな露頭です.見覚えがありますか?平凡すぎてあんまり気にならない露頭ですよね.15年くらい前までは地層の内部構造がハッキリ見えていて,地層の勉強をするにはいい露頭だったのですが,今はだいぶ崩れて草も生えてきてしまいました.
 新生代新第三紀鮮新世の200〜300万年前の,礫と砂でできた地層で,当時の天塩川によってつくられたものです.
 ちょっと登ってみました.礫がまん丸なのがわかります.今の河原もそうですね.川底をゴロゴロ転がって丸くなったジャリです.礫の多くは安山岩でした.前回紹介した美深層の安山岩です.この地層の方が新しいので,古い美深層を天塩川が削っていき,その礫が川底に溜まったんですね.正確には川底というよりは,「中州」の堆積物です.今の剣淵川は中州が結構ありますよね.こういった河川を「網状河川」といいます.

 天塩川が大昔からある河川であることは以前もお話ししましたが,直接天塩川の堆積物が地層として観察されることはあまりなく,800万年ほど前の川西層という地層からが本当の天塩川の地層です.多寄層はその後の地層ということになり,かなり現在の姿に近づいてきています.次回は露頭内部に見られる堆積構造から何がわかるのか?という観点で迫ってみたいと思います.

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過去の露頭探検隊を見る
  第1回 剣淵町刈分川の刈分川層
  第2回 和寒町東和の東和コンプレックス
  第3回 士別市温根別のマムシ沢
  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
  第5回 上士別・朝日町の石灰岩
  第6回 士別市温根別のエゾ累層群
  第7回 士別市上士別の花崗岩
  第8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
  第9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
 第10回 上士別の石灰山(その2)
 第11回 朝日町岩尾内湖の頁岩層
 第12回 士別市温根別ダムの蛇紋岩
 第13回 士別市温根別九線川の下部蝦夷層群
 第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
 第15回 和寒町東町の凝灰岩
 第16回 朝日町ケナシ川の似峡層
 第17回 朝日町八線の貝化石
 第18回 朝日町八線の貝化石(その2)
 第19回 朝日町八線の貝化石(その3)
 第20回 朝日町糸魚小学校の所蔵資料
 第21回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その1)
 第22回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その2)
 第23回 和寒町東丘の美深層