このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
このコーナーの第25弾は,前回に引き続き,剣淵町12線の多寄層の地層です.国道40号線沿いの士別と剣淵の境界付近の露頭です.200〜300万年前の天塩川によってつくられた地層で,網状河川の形態を示すものだという話でしたね. |
礫岩層の下部です.砂岩層の上に乗っかっています.普通,地層というのは平らなイメージがありますね.ところがこの礫岩層と砂岩層の境界部はガタガタで,平らではありません. 礫(ジャリ)が運ばれるのは川の流れが強いとき,つまり大雨なんかが降って洪水になっているときなんですが,そういうときは下の地層はガンガン削られてしまいます.そういうことが起きるのは川の地層の特徴なんです.こうしたガタガタの境界面を「浸食面(erosional base)」といいます.一見,教科書で見かける不整合面に似ているので,理科の先生でも間違える人がいますので要注意!! |
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似たような写真ですが,これは礫岩層の中のレンズ状の砂岩です.礫岩の部分をよく見ると,あちこちにこのような砂岩がはさまれています.礫岩は川底の堆積物で,でこぼこした川底の地形をつくっています.そのでこぼこの大きく上にふくらんだものが中州です.こうした出っ張りの下流の方は,出っ張りにじゃまされて,川の流れの速度が遅い部分があります.流れが遅いので,そこには軽い砂が堆積するんです.礫質網状河川の堆積物には最もよく観察されるもので,逆に「礫岩中の砂岩のレンズ」がたくさんあったら,まちがいなく礫質網状河川堆積物と断定できます.この露頭はその典型的なものです. |
200〜300万年前の天塩川の堆積物,いかがでしたか? 礫質網状河川なんていかつい言葉が出てきてしまってもうしわけない.でも,なんてことはありません.それはジャリの多い中州の発達した川って意味ですから,今の天塩川と同じってことです.まだ人間が猿人だったころの話ですけどね(あ,もちろんまだ日本にそんなものはいませんでしたよ). |
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