このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
このコーナーの第27弾は,士別市温根別五線川林道の片状角閃岩です.五線川林道は温根別ダムを対岸に渡り,左側に続く林道です.真っ直ぐ行くとマムシ沢林道になります.細くて走りにくい林道ですが,山菜やキノコなどはいろいろあるようです.クマも出没するようですが... さて,この林道,実は大変に貴重な露頭が数多く観察される林道なんです.いままでなぜこのコーナーに登場してこなかったのかが不思議なくらいです.今日は「角閃岩」という,あまり聞かない名前の岩石の露頭をご紹介しましょう. |
これが角閃岩の露頭です.四角っぽく割れているのがわかります.これは,片状角閃岩という岩石で,角閃石という細長い鉱物が同じ方向に並んでいるため,その方向に沿って割れるためです.薄い板のように割れることもあります.角閃岩というのは一般に角閃石と斜長石という鉱物が主体となっていますが,ここの角閃岩は特に角閃石の割合が多く,キラキラと光ってとても美しい岩石です.全体的には黒色に見えます. ここの角閃岩は,斑れい岩または玄武岩が変成された岩石で,元々は中生代の海洋プレートであったものです. |
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これは近くにある別の露頭です.こちらは片状ではなく,「塊状角閃岩」と呼ばれるものです.角閃石の形が細長くなく,大粒で,板状には割れません.見た目は今話題のトルマリン(電気石)に似ています.こちらは片状角閃岩よりも角閃石の粒が大きいためか,岩石全体はさらにギラギラした感じです.石材や鑑賞石になりそうですが,残念ながらやや強度が低く,磨いているうちに少し崩れてきます.研磨したものを博物館に展示してありますのでご覧下さい. |
五線川の角閃岩でした.この地域の角閃岩については様々なナゾがあり,お話しすべき事も多いのですがあまりにもマニアックな話になってしまうと読んでもらえなくなるので難しいところです...とりあえずもう少しだけお話ししたいことがありますので,次回も続けさせてください. |
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