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これが九十九山をつくっている地層の,川西層です。土取り場はここだけではなく,他にも大きなものが2カ所あります。川西層は,細粒砂岩(粒の細かい砂)と泥岩が主体の地層で,場所によっては礫岩(砂利)が含まれる地層です。時代は800万年〜300万年前ぐらいで,何度か紹介している「美深層」の堆積した後の時代になります。美深層はこのあたりが火山地帯だったときの溶岩や火山灰と中心とした地層でしたが,川西層はその火山活動が終わった後の,河川平野の堆積物であるといわれています。 |
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近づいてみました。写真では見づらいですが,砂岩の地層中に,斜めの縞模様が観察されます。この模様をクロスラミナといいます。川などの,水の流れの強い場所で地層がつくられるとき,土砂は斜めに堆積していきます。例えば川の中州の下流側や,ポイントバーと呼ばれる川の屈曲したところの下流側に,土砂がくっついていくのです。なぜ下流側にくっついていくかというと,そこは中州やポイントバーという出っ張ったものの「物陰」であるため,流れが弱くなっているところだからです。斜めの地層(クロスラミナ)は,下流側にどんどん成長していきます。川の地層にはクロスラミナが大変発達しています。 |
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もっと近づきました。白っぽく見えているのは泥岩です。すごく細かい泥で,ほとんど粘土といっていいでしょう。このように細かな粒子の堆積物は,川の氾濫原(自然堤防の外側)に堆積したものです。洪水の後は,河川があふれ出て,町中が泥だらけになりますよね?そんな感じです。氾濫原は,洪水の時以外は植物が生えている場所ですから,ときどき植物の化石が見られます。地層内部に炭化した植物の根の化石ありました。
川西層にはこうした粘土層があちこちにあり,水を透さない「不透水層」になっています。地下水というものは,こういう不透水層の上にあるものなのです。実際この露頭も粘土層の上の部分から水がしみ出していました。
川西層は,第24回と25回でご紹介した「多寄層」の前の時代の地層でもあります。多寄層も河川堆積物でしたね。同じ河川堆積物ですから,川西層と多寄層は見た目になかなか区別がつきにくいんです。川西層のほうが砂岩層が多く,多寄層は礫岩層が多いですが,それも場所によります。これらを分けるのは,花粉の化石などを調べなくてはなりません。難しいですね・・・・。 |