第 36 回

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

士別市朝日町岩尾内、柵留林道の斑れい岩(その1) 

 今回ご紹介するのは,朝日町岩尾内の柵留(サックル)林道の斑れい岩です。博物館で、「秋の自然観察〜森林鉄道の史跡をたずねて」という講座を開催し、バスで朝日町に向かい、道中周辺の地質についての解説をさせていただきました。その後サックル林道に入り、奥地まで行ったところでバスを降りて入り口まで歩くという行程でした。今回は地質関係外のものも含めて紹介します。

 まずは地質ネタから。サックル林道は岩尾内湖の東岸にあります。岩尾内湖に水没した似峡市街地から続いていた林道で、サックル川沿いに伸びています。この道沿いや川底にはいくつかの斑れい岩やホルンフェルスの露頭があります。 写真は斑れい岩の露頭ですが、この斑れい岩、いつの時代のものかはっきりとはわかっていません。おおざっぱに言えば1億年前か、3000万年前か、という議論があります。このあたりには中生代白亜紀の海底の岩石や地層が多く、この斑れい岩が海洋プレート下部をつくっていたものである可能性があり、その場合は1億年前になります。もうひとつは日高山脈がつくられ始めた4000万年前頃から、地下ではマグマが発生していました。この地下深くの火成活動は2000万年前ぐらいまで続いていましたので、このマグマに由来するならばそのころの時代のものとなります。
 
 これは林道入り口付近の露頭です。すごくきれいな斑れい岩です。岩尾内湖の石碑はここの岩石を使っています。普通は斑れい岩は黒っぽいものが多いのですが、この露頭の斑れい岩は長石という白い鉱物が多く、全体としては白っぽく見えます。ちなみに真っ黒な斑れい岩は「黒御影」と呼ばれていて、建材や墓石として広く利用されています。
 この露頭の斑れい岩は、専門の研究家が調べたところ、新生代のもののようです。つまり、日高山脈形成時の時代(4000万〜2000万年前)の地下深くのマグマに由来するということですね。

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  第4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層 第34回 比布町北5線の枕状溶岩
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 第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
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 第18回 朝日町八線の貝化石(その2)
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 第21回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その1)
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 第24回 剣淵町12線の多寄層(その1)
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 第27回 士別市温根別の角閃岩(その1)
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 第29回 朝日町北線の奥士別層(その1)
 第30回 朝日町北線の奥士別層(その2)