このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
今回は前回に引き続き、朝日町岩尾内の柵留(サックル)林道付近をご紹介します。前回はサックル林道の斑れい岩はその起源として二種類が考えられるという話でしたね。 |
林道に入ってしばらく行くと、行者の滝というところがあります。滝・・・・にはなっていませんでした。小さな看板も折れて転がっていましたので、立て掛けてきました。ここに小さな露頭がありますが、これがなんと「トロクトライト」という珍しい斑れい岩の一種なのです。見た目は「ただの石」・・・という感じで、普通は誰も気にする人はいないでしょう。でも、北大や新潟大の先生方が調べていて、昔からとても有名な岩石なのです。とても硬い岩石なので、普通の釘打ちハンマーでは割れないと思いますよ。鉱物がびっしりと緻密に詰まった黒っぽい岩石です。 |
これは、行者の滝のトロクトライトの薄片写真です。石井彰洋さん(特別学芸員)が作成して撮影してくれました。トロクトライトという斑れい岩は、主にかんらん石と斜長石でできています。普通の斑れい岩は、その他に輝石や角閃石なども含まれています。トロクトライトは、地下の大変深いところ(マントルに近い所)で岩石の一部が熔けて、そのマグマからかんらん石と斜長石が晶出してできた岩石と考えられています. 写真ではわかりにくいですが、丸くてヒビが入ったように見える鉱物がかんらん石です。かんらん石というのは宝石のペリドットのことです。あの薄いグリーンの石ですね。鉱物名はオリビンといい、植物のオリーブに由来します。以前日本人がオリーブのことをカンラン科の植物と考えていたため、かんらん石と名付けられたわけですが、本当はオリーブはモクセイ科の植物でした。でも鉱物の名前までは変わらなかったので、今でも「かんらん石」と呼ばれています。 |
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