今回は,前回に引き続いて剣淵町西部の西原の丘陵地に見られる美深層の露頭を紹介します。この露頭は820万年前の火山性の土石流堆積物であるという話でしたね。 |
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露頭を横から見てみましょう。急斜面から突き出している礫の巨大さがわかりますね。後ろには剣淵町ののどかな田園風景が広がっていますが,数百万年前の火山性土石流が流れたときはどんな風景が広がっていたのでしょうか。
さて,美深層の泥は赤い色をしているのが特徴だという話をしましたが,それはなぜなのでしょうか。いくつかの説があるようなのですが,火山性の鉄分を多く含んだ泥が,酸化によって赤さびとなってこうした色になる,というのが一般的な話ですが,泥の元になった安山岩が溶岩として噴出するときに酸素に多量に接することで「赤い安山岩」ができる,という事もあるそうです。先日長崎県の雲仙普賢岳に行ってきましたが,そこの赤色と灰色の2種類の安山岩質流紋岩(デイサイト)の成因について,そうした説明がなされていました。 |
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これは露頭の中にある「タマネギ状風化(オニオンクラック)」と呼ばれる構造です。砂岩や泥岩などの地層が地表で乾燥して四角形にひび割れた後,雨水などがしみこむことによってできるものです。四角形の外側から水が浸透してきて急激に堆積が増えパリパリはがれるように割れていくため,タマネギのように見えます。 |
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これは実験でつくったオニオンクラックです。剣淵町弥栄川流域で採取した泥岩(粘土に近い)を水で練ってダンゴにして乾燥させ,タライに水を入れておいて中に放り込んだものです。「シュー・・・パチッパチッ」と音を立てながら泡を出し,次第に外側からはがれ落ちていきます。特殊な風化の様式なので教科書とかには出ていないものですが,堆積岩の露頭を観察すると結構見かけるものなので,こんな実験を授業でやってみるのもいいですね。理科の先生方,ぜひやってみて下さい。 |