第 47 回
下川町パンケ川の玄武岩(その1)

 このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい.

 さて、士別市と朝日町が合併して、士別市と下川町は「隣町」となったわけですね。メインのホームページでは下川町の地質紹介もあるわけですが、下川町は名寄市の北国博物館のエリアに入るので、取り上げるのを控えてきましたが、隣町なら堂々とやれますね。しかも今日ご紹介するのは、朝日町と下川町の境界に比較的近い露頭です。
 朝日町西部の登和里からは下川町に向かう道路があります。両町(おっと、もう両町ではないが)の境界を越えて下川町に入り、ややしばらく行くと「かんすい橋」があり、その先1kmのところの道路右側に写真のような玄武岩の露頭があります。道沿いにはペンケ川が流れており、大変美しい風景です。この露頭には崩落防止用の金網が張ってあるため、撮影などはしにくい状態ですが、玄武岩は下の方にちょっとだけ崩れたものがあるのでそれを採取しました。
 これは玄武岩です。玄武岩という岩石の名前をご存じでしょうか。中学校や高校の教科書にはのっていますが、日本ではあまり一般的ではない岩石なので、「見たことがない」という人が多いのではないでしょうか。簡単に言うと、「黒い溶岩」という感じの岩石です。あまり鉱物のツブツブとかが見えなくて、ただの黒い石なのですが、溶岩だけあってハンマーでたたいても硬くてなかなか割れません。
 この下川町の玄武岩、「下川層群」という地層の最下部付近にある溶岩で、約1500万年前のものであることがわかっています。1500万年前というと・・・・すでにこのコーナーでもご紹介してきたとおり、士別市や朝日町や剣淵町で貝化石が見つかった時代ですね。そう、地球温暖化の起きた時代です。そのころ、下川町では浅い海底で溶岩が吹き出す火山活動があったのです。(つづく)

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■過去の露頭探検隊を見る
第 1回 剣淵町刈分川の刈分川層
第 2回 和寒町東和の東和コンプレックス
第 3回 士別市温根別のマムシ沢
第 4回 剣淵町弥栄川の弥栄川層
第 5回 上士別・朝日町の石灰岩
第 6回 士別市温根別のエゾ累層群
第 7回 士別市上士別の花崗岩
第 8回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その1)
第 9回 剣淵町弥栄川の弥栄川緑色岩体(その2)
第10回 上士別の石灰山(その2)
第11回 朝日町岩尾内湖の頁岩層
第12回 士別市温根別ダムの蛇紋岩
第13回 士別市温根別九線川の下部蝦夷層群
第14回 士別市温根別ダムの下部蝦夷層群
第15回 和寒町東町の凝灰岩
第16回 朝日町ケナシ川の似峡層
第17回 朝日町八線の貝化石
第18回 朝日町八線の貝化石(その2)
第19回 朝日町八線の貝化石(その3)
第20回 朝日町糸魚小学校の所蔵資料
第21回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その1)
第22回 士別市温根別中線川の中部蝦夷層群(その2)
第23回 和寒町東丘の美深層
第24回 剣淵町12線の多寄層(その1)
第25回 剣淵町12線の多寄層(その2)
第26回 士別市武徳の緑色岩
第27回 士別市温根別の角閃岩(その1)
第28回 士別市温根別の角閃岩(その2)
第29回 朝日町北線の奥士別層(その1)
第30回 朝日町北線の奥士別層(その2)
第31回 風連町東生の下川層群
第32回 比布町のエゾ累層群(その1)
第33回 比布町のエゾ累層群(その2)
第34回 比布町北5線の枕状溶岩
第35回 士別市九十九山の川西層
第36回 朝日町岩尾内の柵留林道の斑れい岩(その1)
第37回 朝日町岩尾内の柵留林道の斑れい岩(その2)
第38回 朝日町岩尾内の柵留林道の斑れい岩(その3)
第39回 朝日町岩尾内の柵留林道
第40回 美深町小車の貝化石(その1)
第41回 美深町小車の貝化石(その2)
第42回 剣淵町西原の美深層(その1)
第43回 剣淵町西原の美深層(その2)
第44回 士別市温根別五線川のチャート
第45回 朝日町朝日橋の黒色頁岩
第46回 士別市朝日町南朝日の層状チャート