下川町の玄武岩露頭の続きです。1500万年前の玄武岩、今回はその正体に迫ってみましょう。 |
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この露頭には、玄武岩の溶岩だけがあるわけではありません。写真は露頭の下の方を撮影したものですが、写真の上半分は玄武岩の溶岩、下半分は玄武岩の破片がたくさん入った「凝灰岩」です。凝灰岩というのは火山灰の固まった岩石のことです。前回、浅い海底の火山活動というお話をしましたが、海底火山の噴火は太平洋の鳥島や明神礁などで見られるように、激しい熱水や火山灰を吹き出します。ここの1500万年前の噴火もそのようなものだったのでしょう。溶岩と火山灰が交互に堆積しています。火山灰の中には水中で急冷して破壊された溶岩の破片が入っているわけです。このような地層を「ハイアロクラスタイト」といいます。海底の火山活動の証拠です。 |
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玄武岩をよく見ると、写真のように丸い穴が見つかることがあります。場所によっては穴だらけの場所もあります。この穴はどのようにしてできたのでしょうか。
実は、「火山岩」と呼ばれる溶岩の冷えた岩石は、基本的に穴だらけなのです。溶岩は内部に水蒸気や二酸化炭素をはじめとした多量のガスを持っていて、地表に噴出したときに外に出てきます。穴は気泡なのですね。サイダーやビールの栓を抜くと泡がシュワッと出てきますが、溶岩もこれと同じで、圧力の高い地下に閉じこめられていたときは発砲していなかったものが、圧力の低い地表に噴出して、一気に発砲したものです。玄武岩の溶岩は、深海底や地中で噴出するケースもありますが、そのときは周囲の圧力が高いので、発砲はわずかです。下川町の玄武岩はこんなに発砲していますので、かなり浅いところと推定されています。
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これは下川町の玄武岩の薄片を偏光顕微鏡で観察したものです(撮影:士別市立博物館特別学芸員 石井彰洋氏)。大小さまざまな斜長石が見られます。細長くて直線的な縞模様の入っている鉱物が斜長石です。溶岩には一般的に見られる鉱物の石英があまり入っていないのが玄武岩の特徴です。
あまり目にすることのない玄武岩、岩石の勉強するのに、ちょっと見に行ってみてはいかがでしょうか。 |