このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
士別市温根別市街地南部の採石場に見られる地層,「エゾ層群」の第2弾です。本日は,地層に見られる証拠から,この地層のつくられた環境のナゾにせまってみましょう。 |
ここは,採石場の少し上の方です。普通の砂岩泥岩互層に比べて,このあたりの地層は真っ白になっています。これはなぜでしょうか。 実は,この白い地層は「凝灰岩」といって,火山灰が積もってつくられた地層なのです。また,火山は陸上のものと海底のものとがありますが,真っ白い火山灰を噴き出す火山は陸上のものなんです。海にある火山からの火山灰は黒っぽい色をしています。・・・ということは,ここの白い凝灰岩をつくった火山灰は,陸上の火山から来た火山灰ということがわかりますね。 さて,エゾ層群は海底で砂や泥などが堆積してつくられた地層ですが,ここにどのようにして火山灰が堆積したのかということを考えてみると,@「近くにあった火山が噴火して,空から降ってきた火山灰が海底に堆積した」か,A「火山から噴出した火山灰が陸上に堆積して,川によって流されて海底に堆積した」かということになります。これは,両方あり得る話だと思いますが,主としてAだったろうと考えられます。その理由としては,この場所の白い火山灰の地層が,周辺の砂岩層と同じような厚さであり,砂粒が大量に含まれているからです。普通は,火山灰が空から降ってきた場合,流れる水のはたらきによってつくられる砂が混ざることはありません。つまり,普通に砂岩層がつくられるような環境の中で,火山の噴火が起きて,火山灰が主に陸上に堆積して,川の流れによって砂と火山灰がいっしょに海底に運ばれて,白い凝灰岩の地層ができたと考えられるというわけです。このような,砂の混じった凝灰岩のことを,正確には「凝灰岩質砂岩」または「砂質凝灰岩」といいます。 さぁ,白い凝灰岩の存在によって,このエゾ層群は,近くに陸上の火山があるような海底で堆積したことがわかりましたね。さて,もう少しこの火山について,詳しく知りたくなってきませんか? 次回からはその火山の正体に迫っていくことにしましょう。 |
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