このコーナーでは,士別周辺の露頭をピックアップして,その様子を紹介して,その見どころやエピソードをお伝えします.いろいろな場所が登場しますので,皆さんも地質調査をしているつもりで楽しんで下さい.以前のこのコーナーに登場したものを見たい人は,このページの下の方から入って見て下さい. |
士別市温根別市街地南部の採石場に見られる地層,「エゾ層群」の第3弾です。本日は,地層中の砂岩の薄片観察に見られる証拠から,この地層のつくられた環境のナゾにせまってみましょう。 |
さて,この写真は,この採石場の砂岩の薄片写真です(薄片作成・写真撮影は士別市立博物館特別学芸員の石井彰洋さん)。特徴としては,@砂粒が角張っている,A石英と長石の粒が多いことです。鉱物の鑑定方法については話がややこしくなるので,ここではやめておきましょう。 @からわかることは,砂の供給地(もとになった岩石のある場所)が,この海底からあまり離れていないということです。遠くから川で運ばれてきたとしたら,砂粒はどんどん丸くなっていく傾向があります。この砂粒は非常に角張っていますので,そんなには遠くから運ばれていないというわけです。 次に,Aからわかることですが,結論から先に言うと,この砂粒は「大陸」や「島弧(日本やインドネシアのような大陸の近くの弧状の島の列)」などのような場所にある,陸上の火山の溶岩が起源になっているということなんです。これはかなりムズカシイ話ですね。 詳しく説明しますと,マグマからつくられる岩石の中で,石英や長石が多いものは,「花崗岩」と「流紋岩」という岩石です(中学校で学びます)。その次に石英と長石の多いのは,「閃緑岩」と「安山岩」です。これらの岩石は,海底の岩盤や,ハワイなどの海の火山には見られない岩石なのです。つまり,花崗岩・流紋岩・安山岩などは,大陸とか,大陸付近の島弧にある岩石であり,それが細かく砕かれた砂が,川によって運ばれて海底に堆積して固まったのが,ここにある砂岩なのだということです。いやぁ,今回はムズカシイ話ですね。 前回お話しした,「白い火山灰」というのも実は,透明な鉱物である石英や,白色の鉱物である長石が多い火山灰なので,色が白いというわけなんです。なぜ「石英&長石が多い」=「大陸や島弧の火山岩」という方程式が成り立つのか,という理由を説明することはあまりにもややこしい話なので,この場での説明ははやめておきますが,岩石というのは,「こういうところではこの岩石ができる」という決まりがあるということなんですね。 |
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