士別市温根別市街地南部の採石場に見られる地層,「エゾ層群」の第7弾です。連続記録がさらに伸びました。今回は,露頭の下にたくさんころがっていたナゾの”大きな丸い岩”の正体にせまってみましょう。 |
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前回,上に登っていた露頭に,下の方から近づいてみましたよ。 やや!なんだこの露頭は? 大きな丸いものがたくさんあるぞ。丸いものがあるというよりは,露頭の岩石が丸く割れているように見えます。フ−ム・・・どうやらこれが下にたくさんころがっていた”ナゾの丸い岩”の正体のようですね。しかし,この露頭はどう見ても砂岩の地層なのですが,どうして丸く割れているのでしょうか? |
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もっと近づいてみると・・・なんと!砂岩がこんな風に割れているではないですか。これは驚きですね。まるでタマネギのようです。砂岩が表面からパリパリと皮をはがすように割れています。この中心部の丸い部分がゴロンと落ちてきたのが,あの「丸い岩」だったというわけですね。
この構造は,「第43回,剣淵町西原の美深層」でも紹介した,「玉ねぎ状風化(オニオンクラック)」と呼ばれる現象によるもので,乾燥した状態にある地層の割れ目にそって水がしみ込んだときに,表面に水を含んだ分だけ体積が増え,表面がちょっとはがれます。しばらくするとまた少し内側がちょっとはがれて・・・ということをくり返したものです。それにしてもこんなに見事にタマネギっぽいものはなかなか見つかるものじゃありません。玉ねぎ状風化が見られるの地層があるのはこの採石場の山の最上部だけですが,そこが地表に近い部分であるために水にもふれやすくなっており,この場所にだけこのような構造が発達したのでしょう。
さて,7回にわたってご紹介しました士別市温根別の採石場の露頭,いかがでしたか?今回のシリーズは士別市立博物館の地質巡検会のときの観察のようすからつくりましたので,結構内容が豊富になったと思います。参加者の皆さん,ありがとうございました。 |