士別市上士別の国道沿いにある大きな採石場の,日高累層群の第3弾です。今回は,この山にある岩石について,さらに詳しく説明します。 |
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割れた黒色泥岩です。非常に鋭い割れ方をしていますね。スパッと手が切れてしまいそうです。大変に緻密で硬い岩石だということなんですね。1億年という年月と地層の重み,地下の圧力,マグマの熱などの様々な原因でこのような岩石ができたのです。さて,前回はこの泥岩が「半遠洋」の深海底で堆積した泥だったものだとお話ししました。ところがこの泥,ただ静かに堆積してそのまま泥岩になったわけではないんです。
海底の岩盤(海洋プレート)は動いています。例えば太平洋の海洋プレートは1年間に10cmくらいの早さで西に動いています。今は中学校の理科の教科書にも出ている「プレートテクトニクス」ですね(私が高校生の時は高校の教科書にも書いてなかったことです)。海底に堆積した砂や泥は,海洋プレートといっしょに移動して,海溝に運ばれます。ここで海洋プレートは海溝に沈んでいきますが,その上の砂や泥は沈み込むスキマがないために,海溝の壁にベタベタとくっついていきます。こうしてできた堆積物の大きなかたまりを,「付加体」といいます。日高累層群の正体は,付加体なのです。付加体は,次から次へと新しい堆積物が押しつけられて成長していき,横から大きな圧力が加えられるため,グニャグニャと曲げられたり(褶曲),ブツブツと切られたり(断層)しています。非常にぶ厚くなるのも特徴のひとつです。 |
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これが付加体の説明図です(「JST理科ねっとわーく」より)。たくさんの断層をつくりながら,海洋プレートの上の堆積物がくっついていくのがわかると思います。この図を見ると,付加体は左側(陸地側)ほど古い堆積物でできていて,右側(海洋側)ほど新しい堆積物でできていますね。 (続く) |