士別市上士別の国道沿いにある大きな採石場の,日高累層群の第4弾です。今回は,黒色泥岩以外のこの山にある岩石についてお話しします。 |
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わかりにくくてすみません。この岩石は,少し赤みがかった灰色をしています。明らかに周囲の黒色泥岩とはちがう岩石です。この岩石の正体は,チャートです。朝日町などでも紹介しましたが,チャートは4000mよりも深い深海底に降り積もった珪質(ガラス質)の殻をもつプランクトン(放散虫といいます)のかたまりです。この岩石が,黒色泥岩の中に薄くはさみこまれているのです。このように,深海底堆積物であるチャートが,陸地から運ばれてきた泥の中に入っているということから,日高累層群は「深海底だけど陸が近くにある環境」で堆積した地層であることがわかるのです。では,その「陸」とは?中国大陸でしょうか,日本でしょうか?・・・
1億年前,まだ北海道はおろか,日本もほとんどが海底の堆積物でした。海底堆積物はやがて付加体となり,その後の地殻変動で陸地となっていったのです。つまり,日高累層群という地層のもとになった泥を供給した陸地は,日本ではないということになります。では,中国大陸か?・・・というと,ちょっと遠いようですね。可能性がゼロということはないと思いますが,実は泥を海底にもたらした陸地は,なんと「オホーツク古陸」と名付けられた今は亡き幻の陸地なのです! |
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これは,中生代後期の日本付近の様子です。今とはずいぶんちがう感じですね。常呂海山(現在のハワイのような火山島です)と書いてあるあたりを中心とした海底に堆積した泥が,海溝で付加体となったものが日高累層群なのです。 (続く) |